大会概要

AFC U23アジア選手権 2020がタイで開催される。現在、隔年で行われているこの大会の歴史はまだ浅く、今大会が4回目。偶数回の大会がアジア五輪予選を兼ねるが、今年は東京五輪出場権をかけた戦いとなる。

ただ、我がU-23日本代表は開催国として出場権を得ており、この大会の成績に関わらず、96年アトランタオリンピックから7大会連続となる11回目の本大会出場が約束されている。よってこの大会で日本を除く上位3チームに出場権が与えられることになる。日本以外の15カ国はとりあえず準決勝を目指して戦うことになるが、まずはグループステージで4チーム中2位までに入り、ノックアウトステージ進出しなければならない。

日本が戦うグループB以外で、特に注目なのはグループCだ。顔ぶれはウズベキスタン、韓国、中国、イランという強豪国が並んだ。日本と並ぶ11回目の出場を目指している韓国が首位通過候補なのは間違いない。ただし、A代表がアジアでトップクラスのイラン、オリンピック出場経験はないものの、前回大会の優勝国ウズベキスタン、代表ではまだ結果が出せていないが、クラブシーンではアジアの強豪として定着している中国という3チームを相手に気の抜けない戦いとなるだろう。

グループAはオーストラリアが頭一つ抜けており、近年力をつけて来ているタイとアジアの古豪・イラクが2位通過を争う。バーレーンにとっては力の差がある相手ばかりだが、波乱を起こせるか。グループDは五輪出場経験のあるUAEと成長位著しいベトナムの首位争いが予想される。ヨルダンと北朝鮮にとっては厳しい戦いとなりそうだ。

他のチームとは立場の違う日本にとっても上位進出は非常に重要なテーマとなる。グループBのサウジアラビア、カタールは共に五輪出場経験があり、A代表でもアジアの強豪国と言って良い実績を残している。特にカタールは去年のアジアカップ決勝で完敗を喫しており、苦い記憶として残っている方も多いだろう。シリアはこの2チームに比べればやや劣るが、2017年にはホームで行った親善試合で引き分けられており、決して簡単な相手ではない。

予選のなかった日本はチーム作りの真っ只中といったところだ。A代表で揉まれた堂安律(PSV)、冨安健洋(ボローニャ)、そして久保建英(マジョルカ)といった面々に加え、三好康児(アントワープ)、安部裕葵(バルセロナB)、板倉滉(フローニンゲン)など多数の海外組がひしめき合う状況は楽しみな半面、彼らが一堂に会する場面は一度も作れていない。今大会も国内組が中心のチームで、海外組は食野亮太郎(ハーツ)しか呼べていない。

ラージグループとして見ると頼もしいが、五輪本番のチームに選ばれるのは18人のみ。コンビネーションの熟成はまだまだこれからであり、オーバーエイジも含めて考えると誰が五輪本番で戦うのか、まだまだぼんやりとした状況だ。森保監督としては、今大会を戦い抜くことでチームの基礎的な部分を固め、そこに能力の高い選手を当てはめていきたいところだろう。

この大会の後、発表されている強化試合は3試合しかない。一つでも多くの真剣勝負を経験することが重要だ。グループステージ突破は勿論、暑いタイで優勝を目指し、真夏のトーナメントを制するシミュレーションも行うつもりで挑むべきであろう。サッカーファンにとっても今大会で「自分たちのオリンピック代表」を把握する絶好の機会だ。ぜひ注目していただきたい。