来年1月21日に組まれた国際親善試合、ウズベキスタン戦の目的は八割方、コンディション調整だ。
Jリーグのオフ明け、共にホームで行われる27日のW杯アジア最終予選・中国戦と、2月1日のサウジアラビア戦に向け、国内組の心身をフィットさせる。
おそらく大迫勇也、長友佑都、酒井宏樹、権田修一の主力4人は、ウズベキスタン戦にスタメン出場するはず。
GKについては、東京五輪で安定したパフォーマンスを見せた谷晃生への期待は膨らむが、本大会とは別物の緊張感が漂う舞台、魔物が棲む最終予選だけに、森保一監督は序列を崩さないだろう。もし谷が起用されれば、サプライズだ。
システムはどうなる?
一方、システムは[4-3-3]と[4-2-3-1]の、どちらを想定してウズベキスタン戦に臨むのか。
川崎の脇坂泰斗を招集したところを見ると、旗手怜央と共にインサイドハーフに並べ、[4-3-3]の流れを継続することは想像できる。
ただし、メンバー全体に目を移すと、肝になるインサイドハーフに慣れた選手は少なく、むしろ2列目のアタッカーが豊富だ。それを踏まえると、多くの選手が経験済みの[4-2-3-1]で臨む可能性も高い。
では対戦相手から推測すると、どうか。
2戦目で対戦するサウジアラビアは、ダイナミックに攻撃参加するサイドバックが売りの一つだ。そのサイドを捨てながら、両ウイングの伊東純也らが相手センターバックに外切りプレスを仕掛ける[4-3-3]は、ボールを奪えばショートカウンター発動だが、失敗すれば一気にサイドから押し込まれる。つまり対サウジでは、危険な打ち合いになる可能性が高い。
4-3-3を推奨
10月に行われたアウェーのサウジアラビア戦は、[4-2-3-1](守備時4-4-2)で臨んだ。相手のビルドアップを追い詰めきれず、試合の主導権は渡したが、自陣のスペースを埋めてカウンターを狙い、慎重に戦った。
結果は0-1で敗れたが、森保監督は戦い方に一定の手応えを得たと語っている。その志向を踏まえると、中国戦はともかく、サウジアラビア戦は[4-2-3-1]のほうが可能性は高いかもしれない。対サウジのリスクは抑えられる。
もっとも、次の試合はホームだ。10月の暑熱のアウェー戦とは状況が違う。環境的な後押しを受け、思い切って[4-3-3]でハイプレスに行き、一泡吹かせるほうが面白いし、個人的な期待はそっち。
ただし、石橋を叩いて叩いて渡らず、誰かが先に渡り終わるまで待つタイプの森保監督だけに、慎重に4-4-2系でブロックを固め、少なくとも前半は過ごしそうな気はする。
大迫への高い依存度
いずれにせよ、中国戦とサウジアラビア戦の2試合、さらに途中変更を踏まえると、ウズベキスタン戦は[4-3-3]と[4-2-3-1]、両方の準備と、それに必要な選手のピックアップが進むのではないか。
その際、やはりと言うか、ボトルネックになるのは1トップだ。特に[4-3-3]を使う場合、[4-2-3-1]以上に、大迫勇也への依存度が高くなる。
川崎ではレアンドロ・ダミアン、リヴァプールではロベルト・フィルミーノが長くその役割を担ってきたように、両ウイングを自分より前方へ出しながらプレスをはめ、相手のセンターバックとボランチを見張りながらポジションを取る1トップは、前線の調整弁だ。高い知性と連係が求められる。
ボールを奪った後も、攻撃的な両ウイングを高い位置に留まらせ、打開力を先鋭化する[4-3-3]だけに、1トップの素早いポストワークも必須になる。攻守を含めて、大迫で一旦確立してしまえば、非常に変えづらいのではないか。[4-2-3-1]以上に。
なぜ、11月の試合でボロボロのコンディションの大迫を無理に起用したのかと言えば、主な理由は上記の連係面にあったはず。
江坂任の招集
ただ、それで良いわけがない。個人に依存するのはチームマネージメントのリスクが大きすぎる。この『大迫問題』を解決するピースとして面白いと思うのは、江坂任の招集だ。
彼は浦和でもゼロトップ気味の1トップを務めているが、視野が広く、状況に合わせた最善の一手、ポジションを探す知性が抜群に高い。
技術的にも地上、空中を問わず、何でもできる選手なので、プレーの選択肢の幅も広い。ウズベキスタン戦に向けたメンバーの中では唯一、大迫的センスを備えた1トップ候補だと思う。
もちろん、前田大然のプレッシングも魅力的だが、現在の代表が導入している[4-3-3]の枠組みに当てはめるのなら、前田は1トップよりウイングで起用したほうが生きる。幅を取れるサイドバックを、後方に置きつつ。
江坂や前田に限らず、ウズベキスタン戦のメンバーを見ると、MF/FWに新顔、あるいは出場機会の少なかった選手が多い。彼らが[4-3-3]、あるいは[4-2-3-1]の攻守の枠組みにどうフィットして行くのか。序列を崩す、連係を見せてほしいところだ。(文・清水英斗)