天下分け目の8強決戦、ここに終結。イングランドに競り勝ったフランスが、最後の椅子を手中に【FIFA ワールドカップ 2022 準々決勝 ハイライト動画】

FIFA ワールドカップ 2022 準々決勝 イングランド - フランス

天下分け目の8強決戦、ここに終結。イングランドに競り勝ったフランスが、最後の椅子を手中に【FIFA ワールドカップ 2022 準々決勝 ハイライト動画】

2022.12.11 ・ 日本代表

シェアする
【ABEMA独占】イングランドVSフランス戦のならABEMA!決勝トーナメントもすべて無料!ハイライトも無料配信!

古来より人々は、海の覇権を求めて争ってきた。それは今も終わりがなく、また、FIFAワールドカップも例外ではない。


10日に行われた準々決勝・モロッコ対スペインのジブラルタル海峡ダービーに続き、2試合目はイングランド対フランスのドーバー海峡ダービーとなった。


ワールドカップでの対戦は1982年にイングランドが勝利したのを最後に、40年間も実現せず。世界が固唾を呑んで見守る、まさに注目の一戦となった。


配置は4-3-3を敷くイングランドと、4-2-3-1を敷くフランス。普通に考えれば、そのままの配置で互いがマッチアップするミラーゲームになるはずだが、両者は鏡写しにはならなかった。


フランスに怪童、エムバペがいるからだ。彼は全く守備をしない。自陣に戻らない。終盤は少しだけ戻ったかもしれないが、それが印象に残るほど守備をしない。彼の存在は、ゲームに歪を生む。


この究極の快速アタッカーが左サイドに残っているだけで、フランスは常に守りながらカウンターの充電をした状態になる。


エムバペの存在


その破壊力が存分に表れたのが、ラウンド16のポーランド戦だった。守備をしないエムバペのサイドは隙に見えるのだが、そこへ深入りすると、裏返しでエムバペにボールが渡り、1対1でスペースを蹂躙されてしまう。


当然、相手は対策せざるを得ない。対面するサイドバックは上がれないし、センターバックやアンカーも前へ行きづらい。だが、そうなると「ボールを持たされる」雰囲気が強くなってくる。


主導権を握るとか、主体的に戦うとか、今大会の日本ではキーワードの一つになった概念だが、フランスはそれをエムバペの存在が可能にしていた。


静的に攻めるイングランド


ただしイングランドも、フランスの特徴は百も承知の様子。


右サイドバックのウォーカーをエムバペ番として残し、攻撃時の幅取り役は、右ウイングのサカと、右インサイドハーフのヘンダーソンに担わせ、リスク管理しながらエムバペの背後のスペースを突こうと試みた。


フランスは左ボランチのラビオがサイドに張り出してエムバペの裏をカバーし、テオ・エルナンデスと共に守備をする。サカ、ヘンダーソンは2対2の状況だが、前半は攻めあぐねた。


外へ出たラビオと、チュアメニの間にはスペースが空いているので、使うことも出来たかもしれないが、センターバックのドリブルの持ち運びを含め、前半のイングランドは同数で我慢しながら、静的に攻めた。


わずかに、ベリンガムが逆サイドから流れてきた場面などでは、サイドを崩すことに成功したが、そうしたチャレンジは限定的。ハリー・ケインのターン、サカのカットインなど個の部分でどうにか、バランスを崩さずに剥がそうとした。エムバペの罠にはまらないよう、この辺りは根比べだ。


フランスが早い時間に先制


しかし、フランスが前半17分にチュアメニのミドルシュートで先制したため、イングランドはビハインドで後半を迎え、攻撃と支配をより加速させていく。


サカとヘンダーソンのコンビネーションは前半よりも改善され、オーバーラップやポジションチェンジは、後方からの配球にタイミングが合うようになった。


逆にフランスは深く押し込まれる展開。もはや「ボールを持たせている」とは言い切れない。そしてサカがワンツーでペナルティーエリアへ侵入すると、チュアメニのファウルでイングランドがPKを獲得。これをケインが沈め、後半9分に1対1の同点に。


こうなると、追いついた側に流れがある。ゲームを支配するイングランドと、守備で我慢してカウンターを狙うフランスの構図は、最後まで続く。


エムバペの優位性は?


果たして、エムバペの優位はどの時点まで利益を生んでいたのか。前半はエムバペが守備を引きつけたことが、最終的にチュアメニにスペースを与えて先制点につながったので、その頃に利益を得ていたのは間違いない。


しかし、後半のフランスはあまりにも主導権を渡しすぎて、エムバペが守備をしないことがマイナスへ転換し、借金をしたように見えた。


ウォーカーをスピードでぶっちぎる衝撃的な場面はあったし、エムバペが長い距離を運ぶことで何度も押し返し、また彼が引きつけることで周りがフリーになったのは事実。


ただ、総合的なプラスマイナスでどこまで利益が出たのか、正直よくわからない。まあ、それもフランスというチームだ。そこまで試合を持っていった、イングランドがよく戦った。


ジルーの得点


勝敗の行方は、2点目が分けることになる。


フランスは後半32分、ラビオが左サイドからクロスを上げると、デンベレが頭で折り返し、ジルーが左足で合わせたが、GKピックフォードがビッグセーブ。


ジルーは「ウス(デンベレ)のヘディングに対して、的を射ることに集中したが、もっと強く打つべきだったかもしれない。ピックフォードが素晴らしいセーブをした。ただ、その後すぐに次のチャンスが来ることは分かっていた」と述懐した。


そのチャンスは来た。1分後の後半33分、コーナーキックの流れから再び左サイド。グリーズマンが絶妙なピンポイントクロスを挙げると、ジルーは頭で合わせ、2対1と突き放す貴重なゴールを挙げた。


「グリジ(グリーズマン)のボールは見事だった。その後、どのような気持ちになったかは、言葉では言い表せない」とジルーは語った。


痛恨のPK失敗


一方、イングランドは1点目に続き、後半37分には2本目のPKをゲット。ともすれば、それが疑われる場面は2本より多かったかもしれないが、それは兎も角、イングランドにとっては同点のチャンス。


しかし、連続でキッカーを務めたケインが、2本目は外してしまった。結果的にはこれが勝敗を分けることになった。


デシャン監督は、次のように試合後の会見で語っている。


「イングランドはとてもテクニカルで、とても激しくプレーしていた。PKのようなチャンスを与えてしまったことを後悔している。2本目は運良く外してくれた」


「我々のクオリティは今夜勝つには十分ではなかったかもしれないが、運は我々の味方だった。イングランドも経験があるとはいえ、我々も経験がある。これによって、状況を管理することができた。最後まで持ちこたえるために必要なことをした。ワールドカップのような大会では、それが必要なことなんだ」


「クオリティはあらゆる面で存在する。もちろん、もっと対応できることも、もっとうまくやれたこともあったはずだ。しかし、もし我々があることをうまくできなかったとしたら、それはイングランドが我々に許可を出さなかったからだ。しかし、攻撃とゴールの取り方さえ知っていれば、このレベルでは試合に勝てる。我々はこのチャレンジに立ち上がるしかなかった。我々は報酬を得た。我々のパフォーマンスから何かを取り去るつもりはない。今夜は非常に強いチームと対戦していた」


会見では1つ目の質問から、次のモロッコ戦に関する内容が飛んだが、デシャンはそれを途中で制し、自らイングランドについて話し始めた。ドーバー海峡ダービーを戦ったライバルに対する敬意と率直な気持ちを語りたいと、意思が見られた。


今夜はとても辛い


一方、敗れたイングランドのサウスゲート監督は、次のように語った。


「皆さんが予想する通り、彼(ハリー・ケイン)は落ち込んでいます。しかし、彼は自分を責めるようなことは何もしていない。彼のリーダーシップ、彼のゴールが、どれだけ長い間、私たちのチームと一緒にいてくれたのか。今夜だけでなく、トーナメント全体を通して、彼らがどのように行動してきたかを誇りに思っています」


「今夜はビハインドから盛り返すことができた。我々はプレッシャー、期待、すべてに耐えてきた。だから選手たちにも、スタッフたちにも、これ以上求めることはできない。もちろん、私たちは不足を感じています。そして、我々は勝ち抜くためにここに来ることができると信じていた。今夜はとても辛い」


天下分け目の8強決戦、ここに終結。クロアチア、アルゼンチン、モロッコに続く最後の椅子は、フランスが手中に収めた。一つ一つの試合が、心を動かされるものばかりだった。日々是、ワールドカップなり。(文・清水英斗)



FIFA ワールドカップ 2022 - 準々決勝 イングランド 1-2 フランス


【得点者】

オーレリアン・チュアメニ(フランス)前半17分

ハリー・ケイン(イングランド) 後半9分

オリヴィエ・ジルー(フランス)後半33分


ーーー


11月20日に開幕したFIFAワールドカップ カタール2022も激闘に次ぐ激闘の末、優勝を目指すチームは8つに絞られた。22回目となる今大会は史上初めて中東での冬季開催、1試合の交代枠が5人、登録選手も各チーム26人とルール変更もあり、判定にも半自動オフサイドテクノロジーが導入される等、これまでのFIFAワールドカップとの違いを感じさせるものとなっている。


日本代表はFIFAワールドカップ フランス 1998から7大会連続7度目の出場となった。これまで2002、2010、2018とベスト16に3度進出、初のベスト8という目標を掲げて挑んだ今大会、過去最高に厳しいグループステージとなったが、優勝経験国であるドイツ、スペインを撃破、世界を震撼させての1位通過を決めた。決勝トーナメント1回戦で前大会準優勝のクロアチアと対戦、PK戦にもつれ込む接戦となったが、惜しくも敗退となってしまった。


◇決勝トーナメント ラウンド8(全て日本時間)

12/10(土) 0:00 クロアチア VS ブラジル

12/10(土) 4:00 オランダ VS アルゼンチン

12/11(日) 0:00 モロッコ VS ポルトガル

12/11(日) 4:00 イングランド VS フランス


シェアする

最新記事

おすすめ動画