90分を戦い抜いて、最後までスコアボードの数字は動かず。枠内シュートは互いに0本。こう書くと、渋い凡戦だったように思えるかもしれない。派手なゲームでなかったのは間違いないが、両者の地力を感じる試合でもあった。
第1回のFIFAワールドカップを制した、伝統国である南米の雄、ウルグアイ東方共和国。人口わずか349万人(2021年時点)という小さな国だが、驚異的なことに、多少の浮き沈みこそあれ、100年を超えるスパンでサッカー界の歴史に名を刻むタレントを輩出し続け、今大会においても“隠れ優勝候補”と言われる国である。
ブラジルのようなスーパータレントをズラリと並べるチームではないが、世界でも指折りの選手を複数揃え、百戦錬磨の強者と新進気鋭の精鋭が揃う陣容は十分に豪華だ。韓国との初戦にも、FWルイス・スアレスを筆頭にお馴染みの顔触れが並ぶ。
レアル・マドリードで進境著しいMFバルベルデ、ユベントスからプレミアリーグのトッテナムへ籍を移したMFベンタンクールといった有力選手を含めて、年代別ウルグアイ代表から叩き上げてきた選手の割合が非常に高く、若年層から築き上げた関係性の強さも武器の一つである。
日本でもお馴染みの選手が多数
これに対するは、アジアの虎・大韓民国。1986年大会から9連続出場となる。かつては鍛え抜かれたフィジカルを前面に押し出す傾向が強かったが、近年は若年層からサッカースタイルの改革を推し進めており、テクニックや戦術眼に優れた選手も増加し、代表チームの傾向もかなり変わってきた。
そうした流れとはまた別の特殊な形で育成されたスーパースター、FWソン・フンミンも登場。代表チームの色を大きく変えることとなった。
そのソン・フンミンは大会前の負傷で出場自体も心配されていたが、フェイスガードを着用して登場。また夏まで柏レイソルに所属していたGKキム・スンギュ、元アルビレックス新潟のDFキム・ジンス。
FC東京と大宮アルディージャ、そしてガンバ大阪でプレーしたDFキム・ヨングォン、京都サンガやジュビロ磐田、そしてヴィッセル神戸でもプレーしたMFチョン・ウヨン。
元FC東京のMFナ・サンホ、そして元G大阪のFWファン・ウィジョなど、Jリーグのサポーターにお馴染みの選手たちも先発に名を連ねた。
ファン・ウィジョが決定機を作る
前半はややウルグアイペースのゆっくりした流れながら、韓国も隙を作らず、ゴールチャンスに乏しい展開。前半34分に右クロスからFWファン・ウィジョが合わせたのが、韓国最大の決定機であり、43分にコーナーキックから剛毅系DFゴディンが頭で狙ってポストを叩いたのがウルグアイ最大の決定機だったが、いずれもゴールは奪えなかった。
ウルグアイは個々の能力の高さ、とりわけバルベルデの存在感は際立つものがあったが、韓国の粘り強い対応を崩し切れず。
後半19分にはスアレスを諦めて、大会直前まで別メニュー調整の続いていたFWカバーニを投入して打開を図ったが、惜しいシーンこそ作れどゴールは揺らせず。後半44分にバルベルデの放った得意のミドルシュートもポストに嫌われた。
互いに勝ち点1を分け合う
韓国も後半29分に3枚替えを敢行し、スペインでプレーする21歳のMFイ・ガンインらを投入して活性化を図ったが、カウンターに特長を持つウルグアイに対してリスクを取っての攻撃を続けるのも難しい。
互いにスコアレスドローを最低限の収穫と受け入れつつの攻防となる中、個人の決定打も出ることなく試合は終幕。勝ち点1を分け合うこととなった。
元より混戦の予想されていたグループHは、ポルトガルだけが勝ち点3を積み上げる形となり、一歩リード。
渋いドローを甘受したウルグアイにとっては、そのポルトガルと当たる第2戦が大きなポイントとなりそうだ。
一方、韓国は難敵ウルグアイ相手のドロースタートという結果は悪くない。ガーナとの第2戦で勝点3を得られれば、グループ突破も十分に見えてくる。(文・川端暁彦)
FIFA ワールドカップ 2022 - グループH 第1節 ウルグアイ 0-0 韓国
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FIFAワールドカップ カタール2022が 11月20日開幕!22回目となるスポーツ界最大級の祭典は史上初めて中東、冬開催の大会となる。1試合の交代枠が5人、登録選手も各チーム26人とルール変更もあり、新たなFIFAワールドカップとして記憶される大会となりそうだ。日本はFIFAワールドカップ フランス 1998から7大会連続7度目の出場となる。2002、2010、2018の3大会でベスト16に進出している。初のベスト8以上という目標を掲げて挑む森保ジャパンだが、ドイツ、コスタリカ、スペインと同居するグループリーグは過去最高に厳しい組み合わせとなった。強豪相手に如何にして戦うのか注目が集まる。
◇グループステージ 組み分け
【グループA】カタール、 エクアドル、セネガル、オランダ
【グループB】イングランド、イラン、アメリカ、ウェールズ
【グループC】アルゼンチン、サウジアラビア、メキシコ、ポーランド
【グループD】フランス、オーストラリア、デンマーク、チュニジア
【グループE】スペイン、コスタリカ、ドイツ、日本
【グループF】ベルギー、カナダ、モロッコ、クロアチア
【グループG】ブラジル、セルビア、スイス、カメルーン
【グループH】ポルトガル、ガーナ、ウルグアイ、韓国
◇日本戦情報
グループE 第2節 日本 vs コスタリカ
11月27日(日) 日本時間 19時00分 キックオフ
ABEMA LIVE中継 18:00
テレビ朝日系列 LIVE中継 18:40
グループE 第3節 日本 vs スペイン
12月2日(金) 日本時間 4時00分 キックオフ
ABEMA LIVE中継 3:00
フジテレビ系列 LIVE中継 2:00