これぞ横綱相撲といったところか。優勝候補筆頭のブラジルが韓国に4対1で圧勝。ベスト8へ、堂々の進出を果たした。
立ち上がりに猛攻を仕掛けてゴールを奪うと、その後は試合をコントロールしながら、追加点をうかがう。この日のブラジルが見せたのは、王者の振る舞いだった。
先制点は開始7分、右サイドでボールを受けたラフィーニャの個人技で突破を図ると、最後はファーサイドに走り込んだヴィニシウスが、技ありのシュートを流し込んだ。
直後の13分には、リシャルリソンがペナルティエリアで倒されてPKを獲得。これを復帰戦となったネイマールがゴール右に流し込み、2点にリードを広げる。
さらに29分には、ゴール前のコンビネーションからリシャルリソンが抜け出し、左足でシュートを突き刺した。
ブラジルが一気に4点奪取
前半30分で3対0。ブラジルが圧巻の攻撃力を見せつけたが、カナリア軍団の勢いは止まらない。36分には、ネイマール、ヴィニシウスとつなぐと、最後はパケタが右足で押し込み、4点目。試合を決定づけた。
ブラジルはネイマール、ラフィーニャ、ヴィニシウスなど、高いドリブル技術をベースとした、個の打開力に注目されがちだが、それだけではない。むしろ、ボールを奪われた後の守備への切り替え、そして攻撃では「3人目」の動きが秀逸だ。
流れの中で奪った1点目、3点目とも、個人技で相手の意識を引き付けておいて、3人目となる選手が現れるので、韓国守備陣の対応は後手に回ってしまう。4点目にいたっては、ネイマール、ラフィーニャ、そしてヴィニシウスに意識を引きつけておいて、中盤からパケタがゴール前に入ってくるのである。
まるで「攻撃とはこうやるもんだ」と、見ている人に教えてくれるように。サッカーの教科書のようなプレーを、超絶技巧の選手たちがハードワークをいとわずにするのだから、強いはずである。
一矢報いる韓国
守備では、ボール保持者を2人で挟む、奪われたらすぐに取り返しに行くことを徹底。なかでも2トップの一角、リシャルリソンの守備意識は高いものがあった。
グループステージ初戦でアクロバティックなボレーシュートを決めて、一躍注目を集めた背番号9は、攻撃への貢献と同じぐらい、守備への影響が甚大だ。
韓国戦では、相手ゴール前で体をぶつけ、高い位置からプレスを敢行。たとえシュートを外したとしても、すぐに戻って守備へと切り替える。4点差をつけた状態でも、守備に手を抜くことなくやり続けた。
彼以外にも“中盤の掃除人”カゼミーロ、最終ラインのチアゴ・シウバを筆頭に、守備は強固だ。豊富なアタッカーに加えて、守備意識の高い選手を揃えたブラジル。2002年の日韓大会以来となる、20年ぶりの優勝に向けて、死角は見当たらない。
ブラジル相手に一時は4点差をつけられながら、一矢報いた韓国。後半31分には、途中出場のペク・スンホが強烈なミドルシュートを見舞い、名手アリソンの牙城を崩した。
しかし、試合を通じてブラジルとの差は明らかで、王国の洗礼を受ける厳しい結末を迎え、大会を去ることになった。
FIFA ワールドカップ 2022 - ラウンド16 ブラジル 4-1 韓国
【得点者】
ジュニオール(ブラジル) 前半7分
ネイマール(ブラジル) 前半13分
リチャーリソン(ブラジル) 前半29分
パケタ(ブラジル) 前半36分
スンホ(ブラジル) 後半31分
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11月20日に開幕したFIFAワールドカップ カタール2022もラウンド16に突入。22回目となる今大会は史上初めて中東での冬季開催となっている。1試合の交代枠が5人、登録選手も各チーム26人とルール変更もあり、判定にも半自動オフサイドテクノロジーが導入される等、新たなFIFAワールドカップとして記憶される大会となりそうだ。
日本はFIFAワールドカップ フランス 1998から7大会連続7度目の出場、2002、2010、2018の3大会でベスト16に進出している。初のベスト8進出という目標を掲げて挑む森保ジャパンだが、ドイツ、コスタリカ、スペインと同居するグループリーグは過去最高に厳しい組み合わせとなった。しかし、優勝経験国であるドイツ、スペインを撃破し世界を震撼させての1位通過を決めた。『新しい景色』を目指してクロアチアと対戦する。
◇決勝トーナメント ラウンド16(全て日本時間)
12/4(日) 0:00 オランダ vs アメリカ
12/4(日) 4:00 アルゼンチン vs オーストラリア
12/5(月) 0:00 フランス VS ポーランド
12/5(月) 4:00 イングランド VS セネガル
12/6(火) 0:00 日本 VS クロアチア
12/6(火) 4:00 ブラジル VS 韓国
12/7(水) 0:00 モロッコ VS スペイン
12/7(水) 4:00 ポルトガル VS スイス
◇日本戦情報
決勝トーナメント 第1戦 日本 vs クロアチア
12月6日(火) 日本時間 00時00分 キックオフ
フジテレビ系列、ABEMAで生放送・配信予定